本物の農産物や化粧品を作りたい

小松丸 昌子さん

<経歴>
熊本県出身
化粧品会社勤務後、南阿蘇村オーガニック(株)を創業

–現在の事業内容を教えて下さい。
無農薬の野菜やハーブを生産しています。その素材を生かして、サラダセットなどを販売しており、加工品も製造販売しています。また、農業を営む前に化粧品会社に勤務していたので、主に自社で生産する無農薬のハーブを使用して、化粧品の受託生産も行っております。

–南阿蘇で開業されていますが、南阿蘇のご出身でしょうか?
出身は、植木町(熊本市北区)です。私は県外の化粧品会社に勤めていましたが、退職をきっかけにUターンで熊本に戻りました。母が定年退職後に南阿蘇で農業を始めており、私もそのまま南阿蘇に住んだ経緯です。南阿蘇で開業した理由ですが、母が既に農業をしていた事も影響していますが、南阿蘇は標高も高く、農業に適している土地でした。加えて、水がとにかく綺麗で、農業や化粧品製造をする上で「水」は欠かせないと思いました。

小松丸さんが営むオーガニック農園。

–「農業」と「化粧品」があまりリンクしないのですが、関連はあるのでしょうか?
よく同じ質問を受けますが、リンクしますよ。薬用植物やハーブは、化粧品の原料になっていますから、その原料に農薬を使用しない事が弊社の強みです。原料の生産からこだわっております。

–化粧品会社でのキャリアを生かされてるんですね。今の事業を始めるきっかけを教えて下さい。
この事業を始める以前は、化粧品会社に勤めており、大学の教授とアトピーやアレルギーの勉強をする機会がありました。世の中にある化粧品の中には、界面活性剤などの化学物質を使用する化粧品が多く存在し、肌のトラブルを生む要因の一つになっていると考えました。その為、化粧品の原料から吟味する事が重要になりますが、満足のいく原料を探す事に苦労しました。この経験から、化粧品の原料となるハーブなどを自身で無農薬栽培しようと考えたのがきっかけです。

オーガニック農園のハーブ。

–素朴な疑問ですが、なぜ防腐剤や化学物質を化粧品に使用するのでしょうか?
薬機法(旧薬事法)で使用期限の表示については、適切な保存条件の下で製造後3年を超えて品質が安定している化粧品については、使用期限や製造日の表示義務はないとされています。その為、化粧品の製造側は、3年以上持つように防腐剤や化学物質を使用して安定させるケースが多いんです。化粧品会社に勤務していたので、企業側の意向も理解できますが、起業してからは、ユーザー目線に立った商品を製造したいと考え、防腐剤や化学物質を使用しない事にこだわり、肌に優しい化粧品を提供しています。防腐剤を使用していないので、3年に満たない弊社商品に関しては、製造日や使用期限を表記しています。

小松丸さんが運営するオーガニックカフェ ASOBIO内の化粧品ブース。

–農薬を使用しない有機栽培の難しさを教えて下さい。
簡単なように捉えられるかもしれませんが、除草作業です。どんなに小さな雑草でもすぐに大きくなるので、農作業の大半は除草作業に費やしています。本当に大変な作業です。「農薬を使用すれば、楽なのでは?」と周囲にも言われますが、農薬を使用する事で、土壌が汚染されてしまう上に、体にも良くないと考えており、この点は手を抜かずにこだわっています。

–小松丸さんの農園で生産する農産物の特徴を教えて下さい。
スーパーなどで陳列されている野菜と比較するとサイズが小さいです。その代わり、味が濃く、種類によっては甘みが強いです。また、農薬を使用した野菜と比較して、色味が強く出ます。ブロッコリーや大根などは赤紫色が濃く出ます。

このような小さな雑草もきちんと除草しているそう。

–無農薬栽培は今後増えていくのでしょうか?
農林水産省が、2025年までに有機農地を100万ヘクタール(全体の25%)にすることを目標にしています。2018年時点で全体の0.5%程度しか占めていないので、これから有機栽培が大きく増えていくと思います。私たちが生活する上で欠かせない「食」に関する事なので、有機栽培の認知度が向上していけば嬉しいです。

–現在の事業を行う上での課題があれば教えて下さい。
販売ですね。会社員を辞めた最大の理由は、「本物の商品をお届けしたい」という想いです。
農家に休みはありません。私たちは、無農薬栽培で本物の農産物や商品を生産していますが、生産するだけでは事業が成立しません。自社で営業チームを採用したり、育成するべきなのですが、なかなか手が届いていないのが現状です。これは、弊社に限った課題ではなく、日本全国の農家の課題だと思います。特に農家の高齢化が進み、若い世代の参入が必要です。多くの方々に有機栽培に関心を持って頂き、心を込めて作った農産物や商品が広く行き渡るようにしたいと考えています。

オーガニック農園のブロッコリー。

–やりがいはどのような時に感じますか?
お客様に喜んで頂いた時ですね。「美味しい!」や「この化粧品は他と違う」という声を聞くと苦労が報われます。私は強い信念を持って、仕事に取り組んでいますし、自社の商品には自信を持っています。「農家には休みがない」とよく聞きますが、本当に休む間もなく作業しています。会社を退職した時に、「本物を作りたい」と決心していたので、その理念に共感して働いている仲間にも感謝しています。

小松丸さんの農園からいただいたオーガニック野菜。

インタビューを終えて

化粧品会社時代の経験から無農薬にこだわって生産をされています。会社の名前が「南阿蘇オーガニック」という名称の理由が良く伝わりました。弊社のメンバーで小松丸さんの農園見学に行った際に、ハーブや野菜の本来持つ美味しさを堪能する事ができました。社員の皆さんも素晴らしい方ばかりです。

弊社で販売する米ぬか化粧品や野菜などは、南阿蘇オーガニックさんで製造された商品を取扱っております。
また、農園で採れた野菜やあか牛丼を提供するカフェを小松丸さんが運営されており、南阿蘇にお越しの際には、是非お立ち寄り下さい。


南阿蘇オーガニックカフェ
ASOBIO

営業時間10:30~17:00 ※年中無休
熊本県南阿蘇郡南阿蘇村河陰546-4
096-767-3118

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