東京の大学へ進学を希望した際に、「九州男児としての誇りを忘れず、いつか熊本に貢献するような人材になって戻ってきなさい。」という言葉がずっと心に残っていました。
2016年4月、震度7の大地震が熊本で発生しました。
当時、東京でサラリーマンをしており、熊本城の石垣が崩れる報道を見て、言葉が出ませんでした。会社の上司から「実家に帰りなさい。休暇は何日使っても構わないから」と言われ、すぐに同郷の友人と一緒に熊本に向かいました。祖母の家は全部損壊しており、人生で味わった事のない恐怖や悔しさ、そして自身の無力さを感じました。
先祖代々、水田を持っていましたが、私の親は農家を継ぎませんでした。現在、日本の専業農家のうち、約70%は所得が100万円未満と言われています。農家の就業者年齢は高齢化しており、後継者不足が深刻化しております。近所を歩くと何も耕作していない休耕地が目立つようになりました。
全国の休耕地は、琵琶湖6個分もの広さになり、今後も増加していく見込みです。
サラリーマン時代、上場企業の資金調達やM&Aのアドバイザー業務に従事しておりました。上場企業の経営者の方とコミュニケーションを取る中で、企業が「SDGs」への取組みを意識し、持続可能な未来を目指していることを実感しました。
私自身、実家が水田を持っていたので、特に食糧項目には強い関心を寄せていました。
コメ価格の問題や後継者不足問題など、農業の未来予想図は決して明るくありません。
加えて、熊本では地震・水害・噴火などの自然災害にも頭を悩ませています。これらの現状を打開すべく、農産物の直販事業や無農薬の米ぬかを使用した化粧品事業を始めることにしました。
全くの異業種への転身であり、第一次産業特有の慣習や文化への不安もありましたが、「ルビコンの川を渡ろう」と決意しました。生産者のパートナーとなり、農業に対するイメージを少しでも変えていけるように精進して参ります。
株式会社 肥後市場フーズ
代表取締役社長
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